目立つ制服を着て颯爽と空港内を歩き、機内では笑顔でお客様に接しているキャビンアテンダントも、体力勝負のハードな仕事だということは皆さんご存知でしょうか?
体力面だけでなく、その他のいろいろな面でも努力が必要な仕事ですが、大変な分だけやりがいも感じられます。
この記事ではキャビンアテンダントの仕事の苦労と、その苦労を乗り越えてこそ得られる仕事の喜びについてご紹介します。
キャビンアテンダントになることの難しさ
この記事を読んでくださっているということは、キャビンアテンダントになることの難しさを多かれ少なかれ調べている方が多いことでしょう。キャビンアテンダントは一見華やかに思われがちですが、体力的も精神的にもなかなかハードな仕事です。
採用試験では、応募者がその大変な仕事を遂行できるかどうかという視点で選考が行われますので、さまざまな観点からふるいにかけられることになります。語学力や外見、応募条件など、採用までの苦労、そしてなぜキャビンアテンダントになることが難しいのかを見てみましょう。
勉強すべきことが多い
キャビンアテンダントに必要とされるものはたくさんあります。国際化が進む中で英語は今や必須ですし、さらには中国語や韓国語といったアジア圏の外国語を始め、英語以外にも日常会話ができる言語があればなお良しとされています。お客様のトラブルを解決するお手伝いをするにも、サービス中にお客様と会話するためにも、語学力は強い武器になります。
特に国際線では、機内食の和食を楽しみにされている外国人のお客様もいらっしゃいます。お蕎麦やお豆腐の食べ方が分らない方にお教えしたり、食材の説明をしてさしあげたりすると、日本ならではの細やかなおもてなしの心を伝えることができ、お客様もお食事を楽しんでくださいました。日常会話ができなくても、簡単な挨拶ができる程度でもいいかもしれません。国際線では就航国にお住まいの外国人のお客様も多いですが、その国の言葉でご挨拶するとお客様が笑顔で返してくださることがよくありました。
常に見られている意識を持たなければならない
キャビンアテンダントは制服を着ていますから、遠くからでもどこの航空会社か分かりますよね。これから搭乗しようという便のクルーが、だらしなく歩いてぺちゃくちゃおしゃべりをしながら乗り込むのを目撃したら、あなたはどう思いますか?せっかく楽しみにしていた空の旅への期待が薄まってしまいますよね。空港内だけでなく、ステイ先のホテルやホテルへ向かう道中など、制服を来ている限りは気が抜けません。
これはもちろん機内でも一緒で、サービスが落ち着いたからといっても、お客様の目に入る場所ではいつ見られてもいいように、姿勢や振る舞いに注意が必要です。こうしていると、自然ときれいな姿勢や歩き方が身に付きますので、美しくなれるポイントかもしれません。
倍率が高い
数年前の就職氷河期と呼ばれた時期に比べて、採用募集人数はぐっと増えたキャビンアテンダントですが、それでも倍率は数十倍以上だと言われています。今でも憧れの職業に挙げられるほど、やはりキャビンアテンダントになるのは狭き門だと言えるでしょう。しかし、その難しい選考に見事通った際には、そのことが自分の自信に繋がり仕事へのモチベーションアップにも繋がるのでないでしょうか?
【こちらの記事も参考になります】 客室乗務員(CA)になるための倍率・難易度ってどのぐらい?
応募条件が多い
キャビンアテンダントには、さまざまな理由から他の業界にはない応募条件が設定されています。身体的なものでは身長や視力、体力面では一定以上の水泳能力があることなどがあります。条件が多いので、一つでも満たさないものがあると応募自体できなくなるため、必然的に採用のチャンスを失ってしまいます。
これは、キャビンアテンダントがお客様の安全を守る、非常に責任のある仕事だからだと言えます。万が一の緊急事態でも機内で的確に対応したり、脱出後にお客様を誘導したりしなければならないと考えると、条件が多いのも納得ですよね。
【こちらの記事も参考になります】 キャビンアテンダントになるための条件は?~気になる身長・外見・語学力など~
キャビンアテンダントの業務を行うなかでの苦労
キャビンアテンダントは苦労があっても、それをお客様に見せてはいけません。ですから、業務をする上で実際にどんな苦労があるのか、はっきり知っている人は少ないでしょう。業務上の苦労と、その苦労とどのように向き合ってきたのかをお伝えします。
機内トラブル対応
飛行機にはさまざまなお客様がご搭乗されます。お客様によって、その方の性格やご搭乗になった背景、キャビンアテンダントに求めるものは異なります。その全てのお客様にご満足いただけるように努めなければならないのですが、どんなに頑張って気を配ってもやはりトラブルはつきものです。
お客様が不満を抱きやすいことには、やはり到着時刻の遅れがあります。飛行機も公共交通機関ですが、電車や新幹線より遅れやすいのが現状です。天候や航空路混雑、多客期で出発前の準備に時間がかかってしまったなど、理由はいろいろです。
特に日本人のお客様は時間に厳しく、その後の予定もありますから非常にご立腹になりやすいです。到着時刻が遅れる際には、できる限りサービスを手厚くしてご不満を解消しようと試みたり、刻々と変わる到着予定時刻の情報をこまめにお伝えしたり、終電や最終バスの接続を調べたりします。真摯に対応しているとお客様からお礼を言われる事もあり、「できる事を精一杯やって良かった」と救われる気持ちになります。
また多いものとして、座席関連のトラブルがあります。「後ろのお客様が自分の座席に何度も足が当たって不快だ」、「機内ではゆっくりしたいのに赤ちゃんの鳴き声がうるさい」などです。この場合、キャビンアテンダントが間に入る際には、どちらのお客様にもできるだけ不快感を与えないように対応しなければなりません。
足が当たる件では、お客様が自分で後ろの座席の方に文句を言ってしまうとどちらも後味が悪い思いをされてしまいます。しかし、キャビンアテンダントがやんわりとした言い方でお伝えすると、後ろの座席の方もすんなりその後は気をつけてくださる事が多かったです。
鳴き声の件では、一緒に赤ちゃんをあやしながら、お母様に「お手伝いできる事はありませんか?いつでもお声をかけてくださいね。」とお伝えしていました。キャビンアテンダントが対応していることで、他のお客様も幾分か寛容になりますし、赤ちゃんも珍しい顔を見て泣き止む子もいます。また、「静かにしてほしい」ではなく、「お手伝いがしたい」とお伝えする事で、お母様やそのご家族に肩身の狭い思いを少しでも減らす事ができます。
このように、機内ではどうしてもトラブルは起こります。しかし、その中で自分のできる事を探し、試行錯誤しながらもお客様のためになることを実践していけば、トラブルからでもお客様の満足度を上げる事ができるのです。トラブルでのマイナスからのスタートでも、真摯に対応すればお降りになる頃にはプラスの印象に変える事ができるのは、キャビンアテンダントの仕事のやりがいの一つです。
給料が安い?
数十年前まではキャビンアテンダントは高給取りというイメージでしたが、今ではどこの航空会社も経費削減で一般企業と比べても給料は高くありません。しかしそれは月額の給料という意味です。多くの会社で給料は、毎月固定のベース分にフライトタイムに応じた時間給が発生するシステムになっています。基本給は高くはありませんが、フライト手当や宿泊手当、早朝・深夜手当など勤務が不規則で大変な分、手当としてきちんと返ってきます。
とにかく体力勝負
キャビンアテンダントはとにかく体力勝負の仕事です。長い勤務時間の中、広い機内を動き回り時には重いものを扱います。また、出社時刻が早朝だったり深夜だったりと時間帯もさまざまなので、体調には常に気を遣う必要があります。国際線では時差もあるので、そういった環境でもしっかり休養して次の乗務に備えなければなりません。キャビンアテンダントになると自己管理が徹底してきますし、体力がつきますのでオン・オフの切り替えが上手になります。
【こちらの記事も参考になります】 元CAに聞いた!キャビンアテンダントをしていて、大変だったことは何ですか?
キャビンアテンダントを辞める人は多いのか?
憧れのキャビンアテンダントになっても、理想と現実の差に悩み辞めてしまう人もいます。辞めてしまう理由や、辞めた人がその後どういった仕事に就いているのかご紹介します。
若い人も辞めてしまう理由
残念ながら、入社して数年以内に辞めてしまう人も少なくないのがキャビンアテンダントの仕事です。お客様として見ていた頃に抱いた憧れだけで入社してしまうと、思っていたよりも大変なことが多く仕事が辛くなってしまうようです。
また、実はキャビンアテンダントは体育会系組織で、後輩がしなければならない、暗黙の雑用が存在します。そして若いうちは経験値も低く機内でできる役割も少ないので、どんどん先輩からアドバイスや叱咤激励をもらいます。数年経って自分にも後輩ができればだいぶ楽になるのですが、自分が後輩の頃にこういったことが辛くて辞めてしまう同期もいました。
そして、本人は辞めたくないのに辞めなければ仕方ない理由もあります。どうしても時差が合わず体調を崩したり、航空中耳炎が悪化してしまって乗務ができなくなってしまったりすることもあります。
くびになることもあるのか?
いろいろな噂が飛び交う航空業界ですが、現状では滅多なことをしない限りくびになる可能性は低いと思います。会社としても多くの時間と費用を使って訓練した人材ですから、そう簡単に辞めさせる訳ではないはずです。もちろん契約社員の場合は勤務態度などの理由により、更新してもらえないということはあるかもしれません。しかし、正社員の場合は基本的くびになることはないでしょう。ただし、採用時から契約年数に限りがあると定めている場合は、その年数で自動的に辞めなければなりません。
辞めた人のセカンドキャリア
キャビンアテンダントは特殊な職業ですが、辞めたあとのキャリアは人によりさまざまです。私の同期では、別の航空会社に入社した人や事務職でデスクワークに就いた人、英語力を活かして自宅での英会話教室を開いた人などがいます。他には、マナー講師やソムリエの資格を持っている人はワイン教室を開いたり、エステサロンを開業したりする人もいます。
【こちらの記事も参考になります】 客室乗務員を退職した後は、どのようなキャリアを歩んでいるの?
しかしながら、いずれもサービス業の経験を活用できるものが多く、一般企業の総合職などではアピールできるポイントが見つかりづらいため、そういった職種にはなかなか転職しづらいといったことがあるようです。
苦労や大変な中にこそキャビンアテンダントならではのやりがいがある
確かに苦労や大変なことは多くありますが、それ以上にキャビンアテンダントならではのやりがいや仕事上での喜びもあります。試行錯誤して自分なりに考え対応した結果、お客様から「ありがとう」と言ってくださるとやはり嬉しいです。お客様からの反応をダイレクトに感じられる仕事ですから、お褒めの言葉をいただけるとやりがいを感じます。フライトは乗務クルー全員が一つのチームですから、良いサービスを提供して無事に到着地に着くと、チームで作り上げる達成感を得られます。
機内では多くのお客様と接しお話をさせていただくことで、見聞が広がり新たな発見や心温まる瞬間もあります。旦那様が奥様に内緒で貯金したお金で初めて旅行のご家族や生まれたばかりのお孫様に会いに行くお客様、これから到着地で結婚式を挙げるというカップルなど、お客様の人生の素敵な瞬間を共有し、素晴らしい旅になるようお手伝いすることができるのです。「人の役に立つことに喜びを感じる」という人や、「相手の嬉しい出来事に共感し、気持ちに寄り添うことできる」という人にはピッタリの仕事だと思います。
苦労があるからこそ、喜びもひとしおですのでこの仕事のやりがいをモチベーションにして、是非素敵なキャビンアテンダントを目指してくださいね!
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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・
美咲さん
大使館での秘書業務を経験後、海外エアラインの客室乗務員に転職。結婚と夫の海外赴任に伴い、客室乗務員を退職し、現在はヨーロッパ在住。