ご存知の通り、キャビンアテンダントは特殊な職業です。特殊だからこそ、他の業種では考えられないような条件が定められています。
どれだけ企業研究を熱心にして、志望動機など面接の準備を念入りにしても、応募条件にあてはまらなければ本末転倒です。キャビンアテンダントになるための条件はどんなものなのか、いろいろな観点からお伝えします!
キャビンアテンダント募集要項の条件
「キャビンアテンダントになるための条件はどういったものがあるのか?」ということは、採用試験を受けようとする人なら、一番に知りたい情報ですよね。
応募条件には学歴や語学力といった一般的なものから、身長制限や視力といった身体的条件、水泳などの運動能力といったキャビンアテンダントならではの条件があります。条件の細かい規定は航空会社によってさまざまですが、日系か外資系かでも傾向が分かれます。
この記事では、それぞれの条件についてのボーダーラインや条件が定められている理由、そして日系・外資系の特徴についてもご紹介します。
キャビンアテンダントの身長制限
キャビンアテンダントになる上で、多くの人が悩むのが身長についてです。身長制限がある理由とボーダーラインなどをお伝えします。
身長は何センチ以上必要?
私も現役の頃、大学の後輩に「私は身長が153センチしかないのですが、キャビンアテンダントになれますか?」と聞かれたことがあります。
先に目安を言ってしまうなら、日系航空会社なら158センチ以上、外資系航空会社なら160センチ以上と言えるでしょう。この場合、本当に心苦しかったのですが「その身長では厳しいかもしれない…」と、伝えざるを得ませんでした。
外資系航空会社では実際に『160センチ以上』や『208センチに手が届く』と、募集要項に明記されている場合が多くあります。一方で日系航空会社では、表向きには身長制限を設けていない企業がほとんどです。
ではなぜ、158センチ以上が目安と言えるのでしょうか?
身長制限はなぜあるの?
キャビンアテンダントの身長制限の大きな理由は、オーバーヘッドコンパートメント(頭上の物入れ)に手が届くことが必須だからです。
お客様のお手荷物の出し入れをお手伝いしたり、離着陸時に頭上の物入れがロックされているか触って確認したりと、サービス面でも保安面でも必要な条件です。その条件を満たす身長として、上記のものが設定されているようです。
そして、日本人は欧米人に比べて身長が低いため、日系航空会社の物入れは外資系航空会社のものより低い設計となっています。そのため外資系より日系の方が、身長目安が低いと推測されます。
身長制限はどの程度厳密なのか?
特に日系航空会社は、身長制限を明記しているわけではないので、158センチ未満でも採用される可能性はあります。
私が勤めていた会社でも158センチ未満のキャビンアテンダントは少なからずいました。身長が少し低めでも、キャビンアテンダントとしての素質や人格に優れていれば採用されます。
しかし、私が出会ったクルーの中では、155センチ未満の人はあいにくいませんでしたので、156センチがぎりぎりなのかもしれません。
身長が低めなら、姿勢やヒールの高さに注意
もし、あなたがボーダーライン付近の身長なら、この記事を読んで不安になってしまったかもしれません。しかし、ちょっとした工夫で印象を良くすることはできます。あまりに背が低く思われないように、高めのヒールで面接に臨んだり、入室から良い姿勢を保ったりするといいでしょう。
実際に身長を測ることになるのは最終面接時のことが多いです。それまでは見た目の印象が判断材料となりますので、面接で背の低い印象を与えて不安材料を増やさない方が自分にとっても得だと思います。
※キャビンアテンダントの身長については、こちらも参考になりますのでご覧ください♪
キャビンアテンダントに身長制限はある?航空会社ごとに身長制限は異なる?その他の基本的条件
キャビンアテンダントは特殊な職業ですので、他の企業にはない条件が設定されている場合があります。身長以外の基本条件をみてみましょう。
視力はどのぐらいあればいい?
キャビンアテンダントはお客様の安全を守る保安要員でもあるので、安全を確認するため視力の条件が定められています。
日系航空会社では矯正視力1.0以上が条件です。外資系航空会社では矯正視力0.8以上だったり、裸眼視力0.3以上だったりと、企業によって条件が異なりますので応募する企業の募集要項をしっかり確認しましょう。
そして注意しなければいけないのが、矯正視力といってもコンタクトのみで、眼鏡不可であることがほとんどだということです。
緊急事態の際には、眼鏡は危険防止のため外さなければならないこともあります。また脱出や激しい揺れで眼鏡が落ちてしまうことも考えられるため、矯正視力はコンタクトに限定されています。
現在眼鏡を使用している人は、コンタクトに切り替えるための準備を早めにした方が良いでしょう。
何歳までなれる?
華やかに見えるキャビンアテンダントの仕事は、実は肉体労働が主です。そして、キャリア形成のため若い人材を企業が求めるのは当然のことで、そういった理由から年齢制限が設けられていることがあります。
20代であれば、多くの企業に応募できるでしょう。しかし逆に年齢の下限のみ明記されており、上限は定めていない会社も多くあります。
日系航空会社では人材不足を補うため、30代後半の応募者も合格しているようです。実際に私が一緒に乗務した中で、最年長だった新入キャビンアテンダントは38歳でした。
こちらも企業によって条件が大きく異なりますので、応募の前に確認を怠らないようにしましょう。
泳げなければキャビンアテンダントにはなれない?
水泳ができることも、キャビンアテンダントならではの条件です。
これは外資系航空会社で設定されている条件です。飛行機が万が一水上に不時着してしまった場合などのため、水泳ができなければならないとされています。
規定は企業によりさまざまですが、「衣服着用のまま25m以上」や「50mを1分以内」、また厳しいところでは「200m以上」泳げなければならないという企業もあります。実際に水泳の試験があるところもあれば、入社後の訓練に水泳が組み込まれているところもあります。
外資系航空会社への入社を希望しているなら、泳げるように練習しておくことをお勧めします。
航空会社ごとに最低限求められる学歴
日系大手のJALとANAでは、2018年度の募集要項によると、4年制大学・大学院・短大・専門学校・高等専門学校のいずれかを修了・卒業していることが条件とされています。
外資系航空会社では、あくまで傾向ですが、アジア圏の企業では短大・専門学校以上、ヨーロッパ圏では高校以上が条件の企業が多いようです。
キャビンアテンダントになるには、英語はどの程度必要か?
キャビンアテンダントにまず必要なのは、なんといっても英語力です。外資系航空会社はもちろん、日系大手でも外国人クルーと一緒に乗務します。クルー間のコミュニケーションを円滑にするためにも、またお客様とスマートに会話するためにも英語は必須とされています。
外資系航空会社では訓練も英語で行われるため、マニュアルを読んだり指示を聞き取ったりできるレベルが求められます。さらには、国内線しか運航していない会社であっても、近年ではアジアを中心に外国籍のお客様が多く日本中を旅行しています。そのため、どの航空会社でも一定以上の英語力は必要とされています。
レベルについては、日系航空会社やアジア圏の企業では、多くがTOEIC600点以上と同等の英語力を条件に挙げています。ヨーロッパ圏の企業ではもっと厳しく、700~800点以上としているところもあります。
※CAになるために求められる英語力については、こちらも参考になりますのでご覧ください♪
キャビンアテンダントになるには、TOEICはどのぐらいの点数が必要? 客室乗務員になるためには、英語力はどのぐらいのレベルが求められますか?キャビンアテンダント内定に有利になる学校や学部は?
先ほどもお伝えした通り、英語は必須となりますので英文科などの学部だと、あなたの英語力を保証する目安となるかもしれません。もしくは、応募する航空会社の現地の言語など、外国語を学ぶ学科も良いのではないでしょうか?日系航空会社でも外国人のお客様を取り込むため、特に中国語や韓国語ができる人材は重宝されています。
しかし、学校や学部がそういったものでないからといって不利になるということではありません。英語力を示すためにはTOEICスコアの提出や筆記試験がありますので、そこで実力を発揮できればいいのです。
キャビンアテンダントに容姿端麗は必須条件か?
数十年前には『容姿端麗』が募集要項に記載してある会社もあったと言われるほど、見た目も採用に影響するのかは気になりますよね。現在では、どの程度外見が採用に影響するのでしょうか?
実際選考の顔採用はどの程度あるのか
現実問題として、顔だけで採用されるかといえばそんなことはないと思います。ただし、容姿が応募した航空会社の雰囲気に合っているか、その企業の制服をきちんと着ることができるかという点では、見た目も重要なファクターだと言えます。
日系航空会社では容姿端麗かどうかよりも、身だしなみがきちんとできているかを確認する傾向にあるでしょう。自分のためのオシャレではなく、他人が見て不快に思わないTPOに合った服装やメイクが求められます。
一方、外資系航空会社では、実際に働いているキャビンアテンダントはより華やかで個性的です。制服もその国独自の文化を取り入れたものもあり、特にシンガポール航空やエミレーツ航空の制服はキャビンアテンダントの間でも有名です。そういった制服の個性に埋もれず、着こなせる華やかさは重要かもしれません。
実務において表情の大切さ
実際にお客様と接する際、特にファーストコンタクトでは表情がとても大切です。
有名なメラビアンの法則にもあるように、コミュニケーションで相手に与える印象のうち、視覚情報は55%もの割合を占めています。良い第一印象を持っていただければ、そのあとの会話や対応が変わってきますので表情は非常に重要です。
ですから、面接においても表情の重要性は同じです。あなたが美人かどうかより、素敵な笑顔の持ち主かどうかを面接官は見ています。
ちなみに見た目の印象を良くするためには、お肌のケアも必要です。お肌がきれいだと、若々しく清潔感や透明感が出ますし、健康的に見えます。私が就活生だったころは、「ある外資系航空会社では下からスポットライトを当てられて吹き出物が無いかチェックされる選考がある」という噂があったほどです。
就活の時期は忙しいですが、規則正しい生活とバランスの取れた食生活でお肌を整えましょう。
必須条件は確認しよう
これまで見てきたように、航空会社によって応募規定はさまざまです。ちょっとした確認ミスで不採用となることがないように、各社の募集要項はしっかりと確認しましょう。
条件に挙げられているもの以外は、あまり噂やネットの書き込みなど、不確かな情報に惑わされないように気をつけてください。「こうしなければいけない」と思いすぎると、本来のあなたの良いところが伝わりづらくなってしまいます。自分を偽って無理して入社すると、実際に働き始めてからが辛くなるかもしれません。
どうしてキャビンアテンダントになりたいのか、キャビンアテンダントになったらどういうことをしたいのかといった、原点を思い出し落ち着いて試験や面接に臨んでください。そうすればきっと、色んな情報だけにとらわれることなく、あなたらしくいられるはずです。
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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・
彩夏さん
大学を卒業後、国内大手ホテルにて三年間勤務。その後、外資系の航空会社の客室乗務員を二社経験。機内での日英通訳として勤務した経験も持つ。