キャビンアテンダントの機内アナウンスとあまり知られていない裏事情

飛行機に乗ったら必ず耳にする機内アナウンス。キャビンアテンダントはインターフォンを使用し日本語や英語で必要な情報をお客様に提供しています。

ここでは実際の機内アナウンス内容から一般的には知られていないアナウンスの裏事情まで皆さんにこっそりお教えしたいと思います。

出発時の機内アナウンス

キャビンアテンダントの機内アナウンスとあまり知られていない裏事情

飛行機のドアが閉まり出発準備が完了したらまず耳にするのはこちらの機内アナウンス。機長かチーフパーサーが実施することが多く、お客様に始めのご挨拶を兼ねて出発することを伝えます。

日本語

皆様おはようございます。この飛行機はXXX航空、成田行き、125便でございます。

当機の機長は山田、私は客室を担当します加藤でございます。御用がございましたら遠慮なく客室乗務員にお知らせください。

間も無く出発いたします。シートベルトを腰の低い位置でしっかりとお締めください。

成田空港までの飛行時間は約10時間20分を予定しております。

それでは快適な空の旅をお楽しみください。

英語

Good morning ladies and gentleman. Welcome aboard XXX Airlines flight 123 for Narita.

The captain in command of this flight is Taro Yamada and I’m your chief purser, Akiko Kato.

We are now ready for departure. Please make sure that your seatbelt is securely fastened.

Our flight time to Narita Airport is expected to be 10 hours and 20 minutes.

We hope you will enjoy your flight with us. Thank you.

離陸時の機内アナウンス

機長から離陸する合図が送られてきたら速やかに機内アナウンスを入れ、再度シートベルト着用の注意喚起を行います。

日本語

皆様、当機はまもなく離陸いたします。お締めのシートベルトを今一度ご確認ください。

英語

Ladies and gentleman, we are now ready for takeoff. Once again please check that your seatbelt is securely fastened. 

着陸時の機内アナウンス

着陸してすぐ到着地の天候や入国に必要な情報などの到着情報とともに最後の搭乗御礼をお伝えします。

日本語

皆様、ただいま成田空港に着陸いたしました。ただいまの時刻は午前8時35分、気温は摂氏27度でございます。

安全のためベルト着用サインが消えるまでお座りのままお待ちください。

上の棚をお開けになる際は手荷物が滑り出るおそれがありますので十分お気をつけください。ただいまから全ての電子機器をご利用いただけます。

皆様、今日もXXX航空をご利用いただきましてありがとうございました。皆様の次のご搭乗をお待ちしております。

英語

Ladies and gentleman, welcome to Narita International Airport. The local time is now 8:35 a.m. and temperature outside is 27 degrees centigrade.

For your safety, please remain seated until the captain has turned off the seatbelt sign.

You may now turn on your electronic devices.

Ladies and gentleman, thank you very much for flying with XXX Airlines today. We are looking forward to seeing you again. Thank you.

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機内アナウンスを話すときのポイント

基本的に日本人のキャビンアテンダントであれば日英の機内アナウンスは必ず求められる必須項目。エンジン音やその他の雑音が多くなかなか聞き取りにくい機内環境の中、キャビンアテンダントは一体どのようなことに注意しているのでしょうか。

第一条件は聞き取りやすさ

機内アナウンスというと通常時意外にも緊急事態にお客様へ情報を伝達するための重要な手段です。しかしそれが早口だったり小声だったりして聞き取れないと意味がありませんね。何よりもまず聞き取りやすさが重要なのです。

話すときは頭を少し上向きにし、口角を上げてお腹の底からしっかり発声します。文を読み上げる時、通常語尾に向かって少しずつ下がっていくものなので第一声は少し高めのトーンで話し始めましょう。

また日本語・英語圏意外の多国籍なお客様が搭乗していることを念頭に、発音ははっきりと聞き取りやすく、重要なところはポーズを置いたりゆっくり話すのがコツです。

アナウンス内容によって声音を変える

朝一番、「おはようございます」「ご登場ありがとうございます」と明るく伝える時、また大幅にディレイしてお詫びしなければならない時などは状況に合わせて顔の表情を作り変えながら話します。目の前にいるお客様に話しかけているようなイメージでアナウンスすると声音にも出ますし、「安心感」「信頼感」「誠実さ」などが伝わる機内アナウンスができます。

方言は知らず知らずのうちに出てしまう!?

東海地方出身の私ですが、恥ずかしながら新人時代は自分がしっかり標準語を話していると思い込んでいました。しかし機内アナウンスの練習を始めてから訛りが発覚、先輩にも「どこ出身?あ、やっぱり西の方出身ね」と言われる始末。これだけは練習あるのみです。何度も直されては繰り返し発音して標準語を身につけました。

アナウンス力向上のための社内講習

キャビンアテンダントの機内アナウンスとあまり知られていない裏事情

どのキャビンアテンダントも安定した質の良いアナウンスを提供できるよう航空会社によってはマンツーマンの社内講習を受ける必要があります。このような場合、たいてい標準レベルに達していないキャビンアテンダントは機内アナウンスの実施が認められていません。厳しそうに聞こえますが、ではどのような制度になっているのかご説明しましょう。

アナウンスグレード

日本語・英語それぞれにアナウンスグレードというものが存在し、チーフクラスになると日英ともトップクラスのグレードでなければなりません。

定期的に受ける講習ではアナウンスを指導できる講師資格を持ったキャビンアテンダントに個別指導を受け「聞き取りやさ」「発音」「信頼感」など様々な項目で点数を満たせばグレードアップとなります。ここで晴れて標準レベル以上のグレードを付与されてようやく憧れの機内アナウンスができるのです。

アナウンス力を上げる為に

読み上げる際にどこで区切るか、アクセントはどこに置くかなど細かくアナウンスマニュアルに書き込んで何度も声に出して練習します。またグレードの高い先輩に聞いてもらったり、インターバル中に機内のインターフォンで実際に練習させてもらったりして第三者の意見を聞き、自分の気づいていない癖や発音を直すと上達が早くなりますよ。

番外編:キャビンアテンダントの寿アナウンス

仲の良い同僚の結婚披露宴で披露するおなじみの余興で寿アナウンスというものがあります。実際の制服を着用し、機長は新郎、チーフは新婦に書き換えられたアナウンスを読み上げますので新郎新婦もゲストも大盛り上がりの余興です。

「この飛行機は幸せ空港行きでございます。」「この便では夜10時を過ぎての帰宅は固く禁止されております。」「機内にお持ち込みになれるのは(新郎に対して)給料袋のみに限らせていただきます。」など、どっと笑いを誘うこのアナウンス。

では実際にこの原稿はどこで入手するのかというと伝統的に先輩から受け継がれているものなので、同僚の間で出回っているものを探します。航空会社によって内容が違ったり途中脚色が加えられたり色々なバージョンがあってとても面白いですよ。

どうでしたか。よく機内で耳にするアナウンスも実は奥が深いですよね。姿勢を正し口角を上げてはきはき話す練習は面接対策にもなりますので、キャビンアテンダントを目指している方は是非上記のポイントを参考にアナウンス例を声に出して練習してみてはいかがですか?

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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・

ca4涼子さん

国内系大手航空会社の国際線客室乗務員として10年以上勤務し、世界中をフライトで飛び回る。世界の大都市・グルメ・音楽・カルチャーに関心を持ち、結婚に伴いヨーロッパでの海外生活を始める。翻訳・通訳歴も数年あり、英語・ドイツ語はビジネスレベル。

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