新型コロナウイルス感染拡大で減便・運休が続いていた航空業界ですが、各航空会社ともに感染対策を行いながら国内線を中心に少しずつ運航路線や運航便数を増やしはじめています。
機内搭乗から降機までこれまでとは違う形のさまざまな工夫がなされる中で、日々不特定多数の乗客との触れ合いは避けられず感染リスクが高そうなイメージがある客室乗務員ですが、実際のところ乗務で感染が確認されたケースはごくわずか。
それは普段から客室乗務員が乗務中の感染症対策として行っているリスクマネジメント術が役に立っているからとも言われています。
そこで今回は、客室乗務員が行っているリスクマネジメント術についてご紹介します。
客室乗務員も行っているリスクマネジメントとは?
リスクマネジメントとは、事例から想定されるリスクを事前に予測して回避することです。
航空会社ではさまざまなリスクマネジメントを行いながら運航を行っています。
例えば、保安要員としての客室乗務員が乗務中に向き合うリスクには、ヒューマンエラーや偶発的な事故を起因とするリスクがあります。少しのエラーが乗客の安全に大きく関係することになるため、幾重にもリスクマネジメント策を投じて乗務に挑んでいます。
サービス要員としての客室乗務員が向き合うリスクには、コミュニケーションミスなどのヒューマンエラーを起因とするリスクがあります。客室乗務員同士のコミュニケーションを密に取ることやさまざまな事例からの対応術を学び、乗客の要望を汲み取ってサービスを行うことで大きなクレームに発展することを回避しています。
他にも、今回のような感染症対策においては、不特定多数の乗客と限られた空間で長時間過ごすことによるリスクがあります。これは乗客も同じでは?と考えられる場合もありますが、やはり乗務で月に何度もフライトを行う客室乗務員のリスクは乗客に比べると何十倍も高くなっています。
また、海外でのステイ中には慣れない土地や文化、宗教の違いによるリスクも潜んでいます。海外ステイ中の行動においては、自分の身を守ることを最優先としてリスクマネジメントしています。
新型コロナウイルスへのリスクマネジメント
客室乗務員は、不特定多数の乗客と限られた空間で長時間過ごすことによる感染症へのリスクがあります。
例えば、今回の新型コロナウイルス感染症だけでなく、過去には東アジアを中心としたSARSや中東のMERS、現在も続いているエボラ出血熱などさまざまな感染症があり、世界各国へのフライトに乗務する客室乗務員はどのフライトにおいても常に感染症対策を行わなければなりません。
客室乗務員は機内で乗客に飲み物や食事の提供を行うため、衛生管理には常に気を付けています。客室乗務員を介してそこで、客室乗務員ひとりひとりが健康管理として日頃から行っているリスクマネジメントは、こまめな手洗いとうがいの徹底、アルコール消毒液を使っての手指の消毒です。航空会社によっては、客室乗務員が感染症対策のトレーニングを受けたり、乗務後の隔離を含めて乗務パターンの見直しを行ったりすることもあります。
また、日本と衛生環境の異なるステイ先での食事や衛生管理には特に注意を払っています。これは、スタンバイ要員のいない海外就航地で客室乗務員が体調不良や食中毒などのために帰りの便に乗務できないということがあってはならないからです。
このように日頃から感染症対策や衛生管理としてのリスクマネジメントを行っている客室乗務員は、今回のような感染症の拡大が続く状況下においても感染リスクを最小限に抑えることができているのです。
機内でのリスクマネジメント
保安要員としての客室乗務員が乗務中に向き合うリスクには、ヒューマンエラーや偶発的な事故を起因とするリスクがあります。
機内では小さなエラーが乗客の安全に大きく関係するため、幾重にもリスクマネジメント策を投じています。客室乗務員が日々フライトの度に行う保安のチェックリストをはじめ、定期的な緊急保安訓練を行いさまざまなシミュレーション訓練を行なっています。
コミュニケーションミスなどのヒューマンエラーを起因とするリスクを極力減らすため、客室乗務員同士のコミュニケーションを密に取ることや機内で発生したさまざまな事例からの対応術を学んでいます。乗客の要望を汲み取り、先を読んだ行動をすることで大きなクレームに発展させること回避しています。
また、いただいたクレームはすべての客室乗務員で共有し改善点を見出します。習慣化された業務の中では見えない気づきから改善点を見出すことでサービスレベル向上に生かすことができるからです。
海外でのリスクマネジメント
世界各国へのフライトに乗務し海外のさまざまな都市でステイする客室乗務員は、海外でのリスクマネジメントも欠かせません。
例えば、スリや起き引きをはじめ、レストランやタクシーでの高額請求、公共交通機関のストライキや公共の場でのデモ活動などに遭遇することもあります。何度も訪れているステイ先であっても、少しの気の緩みが大きなトラブルに発展してしまうこともあります。また、文化、価値観、宗教の違いによるリスクもあります。
また、先にも書いたように日本と衛生環境の異なるステイ先での食事や衛生管理には注意を払っています。客室乗務員が帰りの便に乗務できずフライトに影響を及ぼしてしまうことがないように、体調不良や食中毒などには特に気を付けています。
このように、海外ステイ中の行動においては、自分の身を守るのは自分ということを念頭に置き、情報の収集を欠かさずに先を読んだ行動を取るなど自分の身を守るためのリスクマネジメントをしています。
まとめ
いかがでしたか?客室乗務員が行っているリスクマネジメントについてご紹介しました。感染症のウイルスから身を守るだけでなく、さまざまな場において必要となるリスクマネジメント。
普段のフライトにも潜んでいる不安要素や危険因子をできるだけ早く見つけ出し、リスクマネジメントすることでより安全な空の旅を提供することができるのです。
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この記事を書いたキャビンアテンダントは・・・
桜子さん
海外の大学へ留学後、旅行やビジネスコミュニケーションの仕事を経験し、日系航空会社のキャビンアテンダントへ。アジア・中東・欧州での生活経験あり。