客室乗務員は、もはや花形職業ではない!?働きやすさという軸で選ぶ客室乗務員という仕事の魅力

先日、興味深い記事を見つけました。

「客室乗務員の就職人気が下がった理由(PRESIDENT Onlineより)」という記事で、“かつては花形職業であった客室乗務員は現在売り手市場になっており、各社人材確保に必死である”という内容でした。

就職人気企業ランキングにおいて航空会社は上位を占めており、その人気は依然衰えていないことがうかがえます。

ではなぜ、各社必死に人材確保に務める必要があるのでしょうか。

それには、LCCの就航をはじめ訪日客の増加、国内空港の国際線発着数が年々増加していることなどを背景に、業界全体が拡充傾向にあり、採用人数も増加しているということにあります。

そこで今回は、これまで花形職業と言われてきた客室乗務員は、より多くの人に門戸を広げることで身近になり、また誰もが働きやすい職業へとシフトしているということに焦点を当てたいと思います。

客室乗務員は花形職業?

客室乗務員は、もはや花形職業ではない!?働きやすさという軸で選ぶ客室乗務員という仕事の魅力

かつて海外旅行に行く機会はごくわずかの人に限られていた時代に、世界中を飛び回っていた客室乗務員は女性の憧れの職業であり、多くの学生が目指す職業のひとつとして人気を集めていました。

航空会社自体が今のように多くなく、採用人数はごくわずかに限られていた上、学歴をはじめ英語力や身長制限など厳しい制限があり、客室乗務員として働けるのはほんの一握り。

そのため、客室乗務員採用試験は狭き門と言われ、その狭き門を突破した客室乗務員は、乗務中だけでなくプライベートにおいても注目されることが多く、長らく花形職業と言われてきました。

しかし近年では、LCC航空会社の発足や、独立系エアラインの誕生、羽田空港の国際化における訪日外国人観光客の増加、新規路線や使用機材の拡張などにより、これまでより多数の客室乗務員が必要となっており、客室乗務員という職業は身近な職業のひとつへと変わりつつあります。

それは同時に多くの人に客室乗務員になる機会が与えられているとともに、これまで業界全体で厳しかった採用条件が各社ごとそれぞれの基準へと変わってきているため、自分のライフプランにあった働き方を提供している航空会社を選べるようになっているということでもあります。

客室乗務員は働きやすくて魅力的な職業

少し前まで客室乗務員といえば契約社員としての雇用が多く、長く安定して働き続けることができないという不安を感じる人も少なくありませんでした。

しかし、最近は様々な業界において働き方について見直す動きが出ています。それは航空業界も例外ではありません。

客室乗務員は、不規則な勤務時間で月の約半分は宿泊をともなう職業であることから、出産や育児を現実的に考えられないという声が多くありました。そのため、結婚・育児・出産を理由に退職をする人も多く、離職率の高い職業でもありました。

これらの問題を解決し、客室乗務員に長期的なキャリアを築いてもらいながら安心して働ける環境を整えるためには、労働環境の整備や多様な働き方を提供する必要があります。

そこで、これまで契約社員での雇用が一般的であった客室乗務員が、安心して長期的なキャリアを積むことができる労働環境を提供するために正社員雇用に切り替える動きが広まっています。
その結果、客室乗務員はこれまでの花形職業というイメージから、より働きやすい環境が整った魅力的な職業へと変わってきています。

働きやすい国内航空会社

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客室乗務員がより働きやすい労働環境を整えるために各航空会社はどのような取り組みやサポートを行っているのでしょうか。

働き方の改革を行なっている国内航空会社の例を紹介します。

ANA

国内航空会社ではいち早くすべての客室乗務員を正社員雇用へと切り替え、ANAで長く働き続けたいという社員の声に答えるために多様な働き方を提案しています。

中でも、女性の活躍躍進に力を入れており、仕事と家庭の両立をサポートする仕組みが整っています。

例えば、子供が小学3年生修了時までは月間勤務数を通常の5割または7割とすることができる短日数就労制度、フルタイムで就労する場合には通常の休日・有給休暇以外に月間3日の育児日を設けることができる育児日制度、育児および看護のための特別休暇制度を設けています。

また、フライトに従事するだけではなく、スタッフアドバイザーやインストラクター、人事や商品開発、客室乗務員全体を統括する管理職へ進むことができるなど多彩なキャリアパスが用意されています。

JAL

2016年から契約社員で採用した客室乗務員を正社員雇用に切り替える取り組みを進めているJALでは、客室乗務員が安心して働ける様々なサポート制度を設けています。

結婚・妊娠・出産を理由にした離職率が高かったことから、妊娠後は本人の希望により産前地上勤務に就ける、またはすぐに産前休暇を取ることができる、育児休暇は最長3年取得可能など、他社とは異なる独自の制度を設けています。

他にも、小学校就学前の子供を持つ客室乗務員は深夜就業の免除が可能なほか、子供の看護のための休暇制度などが充実しています。さらに2016年からは妊治療休職制度を導入し、JALで働く女性がライフプランを描きやすいようにサポートしています。

また、入社後は客室乗務員としてのキャリアを積むことができるだけでなく、客室乗務員としての経験を生かしたインストラクター、海外基地への短期派遣、広報やサービス企画、採用担当など様々な業務に携わるチャンスが広がっているため、長く働き続けることができます。

国内航空会社は働きやすい環境づくりを進めている

これらを見てもわかるように働き方の改革を進めている国内航空会社では、すべての客室乗務員を正社員として雇用することで安心して働き続けることができる環境を提供するとともに、多彩なキャリアパスを用意することでそれぞれのライフステージに合わせた業務に携わることも可能となっています。

近年、国内航空会社では客室乗務員の正社員雇用が一般的になってきていますが、外資系航空会社では未だ契約社員としての雇用が多く、長く働き続けるということを考えると、働きやすい環境は国内航空会社の方が整っていると言えます。

退職しても客室乗務員の経験を生かして働ける

客室乗務員は、もはや花形職業ではない!?働きやすさという軸で選ぶ客室乗務員という仕事の魅力

ここまで客室乗務員が働きやすく魅力的な職業であるということを紹介してきましたが、客室乗務員を退職した後のキャリアについても少し触れておきたいと思います。

客室乗務員として身につけた接遇やサービススキル、コミュニケーションスキル、語学力をはじめ様々な国を訪れた経験は。様々な分野で生かすことができます。特に、接客業や人のサポートをする職業では客室乗務員としての経験が大いに役立ちます。

例えば、客室乗務員としての経験を生かし客室乗務員を目指す人のサポートを行う「エアラインスクール講師」や接遇マナーを教える「接遇マナー講師」。語学力を生かした「通訳者・翻訳者」、フリーランスでも働ける「WEBライター」。サービススキルやコミュニケーションスキルを生かした「秘書」などのほか、海外で出会ったローカル雑貨を広めるために自分で会社を立ち上げたり、フラワーアレンジメントスクールを開いたりと、活躍の場は多岐にわたります。

※参考情報

働きやすい職業として客室乗務員を目指す選択肢

客室乗務員が花形職業と言われていた頃に比べると、最近ではLCC航空会社が就航するなど航空会社の数も増えています。航空業界全体においても就航路線の拡大や保有機材の更新や増加が常となり、各社が必要とする客室乗務員の数も増え続けています。

かつては絶対条件であった身長制限や語学力に関しても、身長制限は緩和し、語学は入社後に習得すれば良いという方針の航空会社が多くなってきています(航空会社により異なります)。そのためこれまで身長制限で諦めざるを得なかった人をはじめ、より多くの人に客室乗務員として働くチャンスが与えられるようになっていると言えます。

これまでは「花形職業」というイメージが大きかった客室乗務員ですが、収入より働きやすさや安定を求める声が増えたことによって、仕事と家庭の両立が叶う「働きやすい職業」にシフトしていくと考えられます。

華やかなイメージや憧れだけで客室乗務員を目指すのではなく、自分の適性や将来のライフプランと照らし合わせながら、労働環境や働きやすさを重視して客室乗務員という職業を選択するというのも良いのではないでしょうか。

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この記事を書いたキャビンアテンダントは・・・

ca6桜子さん

海外の大学へ留学後、旅行やビジネスコミュニケーションの仕事を経験し、日系航空会社のキャビンアテンダントへ。アジア・中東・欧州での生活経験あり。

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