今も昔も、憧れの仕事のひとつとしてあげられることが多い、客室乗務員の仕事。客室乗務員を目指す皆さんにとって気になることのひとつに、倍率(合格率 )や難易度があると思います。
日系大手航空会社の場合、客室乗務員の募集が出ると、募集人数が100名のところに10,000名以上のエントリーがあったこともありました。倍率でいうと「100倍」です。
数字だけを見てしまうと難易度が高く感じ、自分は合格できないのではないかと弱気になってしまう人もいるかもしれません。しかし、客室乗務員受験には、倍率よりも大切なことがあります。
そこで今回は、客室乗務員の倍率や難易度について、そして、客室乗務員になるためには、どのような能力や対策が必要になってくるのかを、お話ししたいと思います。
客室乗務員の倍率はどのくらい?
客室乗務員になるための倍率は、募集人数に対する応募人数の比率で決まります。例えば、100名の募集枠に5000名の応募があると、倍率は「50倍」となり、50名に1名しか合格しないということになります。
かつては、客室乗務員の募集も少なく、1度の募集で採用される人数は多くても数十名ということが多く、狭き門と言われてきました。
しかし近年、観光客の増加や機材の大型化など、客室乗務員の需要は増え続けています。年間数百名単位での採用が必要な場合もあり、募集も頻繁にかけられるようになりました。そのため、かつてほど倍率も高くなくなってきています。
航空会社ごとの倍率
では、各航空会社の倍率はどのくらいなのでしょうか。2016年に客室乗務員募集があった航空会社の倍率を見てみましょう。
ANA(全日空)
- 新卒募集人数:700名
- 倍率:14倍
*経験者及び再雇用人数の募集もありましたが、募集発表時の採用人数は未定
JAL(日本航空)
- 新卒募集人数:350名
- 倍率:28倍
- 既卒募集人数:50名
- 倍率:100倍
エミレーツ航空
- 募集人数:5500名
- 倍率36倍
*新卒・既卒、国籍の枠はなく、年に4回の募集があり、世界中から5500名という大量の採用が行われた
ピーチアビエーション
- 募集人数: 30名
*新卒・既卒の枠は設けられていない
日系大手航空会社2社への新卒募集へのエントリーは、各社10,000名以上、既卒でも5,000名程度はあると言われています。
この時点で、ANAの新卒の場合の倍率は、14倍。JAL の新卒の場合は、28倍。既卒の場合、100倍となります。エミレーツ航空の客室乗務員への応募は、年間20万名を超えると言われています。それでも、募集回数や1度に採用される人数が多いため、倍率は36倍に。
また、ほかの外資系航空会社やLCCの場合でも、1度の募集人数が数十人の場合が多いですが、応募する人数も大手ほど多くはなく、倍率としては大手新卒募集の場合とほぼ同じくらいになります。数字だけを見ると、最も難易度が高くなるのが、日系大手の既卒募集の場合で、倍率は100倍を超えることもよくあります。
それに比べると、世界中の航空会社の中でも飛び抜けて応募人数が多く難関と言われることが多いエミレーツ航空の倍率の方が、随分と低いということがわかると思います。
応募数を元にした倍率はあてにならない?
応募に対してエントリーした人数が10000名いたとしても、その中で必要書類を準備して履歴書を郵送する人数は10000名より少ないのが現実です。また、同時に何社にも応募している人も多く、実際には試験に参加しなかった、通過しても他社を選んだなど、最終試験まで残る人数の倍率は変わってきます。
また、最終試験に残った受験者の中にどうしても採用したい人が多数いた場合には、当初の予定より多く採用する場合もありますし、その逆もあります。募集人数は、「このくらいの人数を採用する予定ですよ」という目安であり、実際の採用人数とは異なるため、応募数を元にした倍率はほとんどあてにならないのです。
それよりも大切なことは、倍率や難易度を気にかけたり数字に惑わされることなく、どんな試験でも自分をしっかり出し切れるように準備を行い、勝ち残る力をつけることです。10000名の応募者の中で、客室乗務員への情熱と準備、勝ち残る力を持ち合わせて受験に臨む人はどのくらいいると思いますか?きっとそれほど多くはないはずです。
客室乗務員に求められる能力は?
では、客室乗務員に求められている能力とはどのようなものがあるのでしょうか。特に重要な3つのポイントをあげてみたいと思います。
①判断力とコミュニケーション力
客室乗務員という仕事は会社のフロントラインに立ち、お客様を安全に目的地までお連れするという任務があります。機内では、年齢も国籍も利用目的も違う様々なお客様と接しなければなりません。
機内という限られた空間、限られた時間やアイテムで、どのようにすればお客様に喜んでもらえるか、より快適に過ごしてもらうためにはどうすればよいのか、今何を望んでいらっしゃるのかを、お客様とのちょっとした会話やちょっとした仕草から見極め、自分で考えて工夫し、効率よく行動できるようにならなくてはいけません。
また、毎回違うクルーと乗務する客室乗務員は、はじめて会うクルーともきちんとコミュニケーションが取れなければなりませんし、どのようなお客様とも会話を広げられる幅広い知識も必要になります。日頃から周囲にアンテナを張りめぐらし、目を配り、気を配り、状況を汲み取る練習を積んでおきましょう。
②英語の運用力
客室乗務員の募集要項の中に最低限必要な英語力として、「TOEIC600点程度」とあげられています。外資系航空会社ではこれよりさらに高いレベルが求められる場合もあります。
多くの応募がある場合、エントリーシートや履歴書の審査で最低限のレベルに達していないことでふるいにかけられてしまうこともありますし、英語の面接がある場合もあります。どれだけ点数が高くても実際に英語を運用する力が足りなければ即戦力にはなれません。
機内の業務の中でも、お客様の要望を「聞く力」、お客様と「会話する力」が必要になってきます。英語に不安がある人は、早いうちから英会話スクールに通うなどして英会話能力を高めておくことで、面接時にアピールできるポイントになります。また、第二外国語ができればさらに強みになりますので、余裕があれば学習しておくとなおよいでしょう。
③体力と自己管理力
客室乗務員の仕事は想像以上に体力が必要です。毎日の生活のリズムは不規則。夜通しフライトを行うことも多々あり、時差のある国へのフライトでは時差ぼけで寝不足に陥ったりと大変なこともたくさんあります。重い荷物を持ち上げることもありますし、いざというときにお客様をしっかりと誘導し守るという任務もあります。
自己管理がきちんとできてないとお客様に迷惑をかけることになりかねません。どんな状況下においても、自分の健康管理と時間管理をしっかり行い、常に万全の状態でフライトを遂行する力が必要です。面接時に体力測定を行ったり、水泳のテストがあったりする航空会社もありますので、日頃から体力維持に努めておくようにしましょう。
どんな対策が必要?
客室乗務員に必要な能力や一般的な学力を身につけるだけでなく、日頃から気をつけることで差が出るポイントが3つあります。それは、
「言葉遣い・立ち居振る舞い・自然な笑顔」
の3つです。
これらは、すぐに身につくものではなく、日々コツコツと努力をして継続的に取り組んでいくことで、他の受験者と差が大きく出る部分です。目標を失わずに、モチベーションを保ち続けることは容易なことではありませんが、自分自身の努力次第で誰にでも身につけることができるものばかりです。
大切なのはしっかりと時間をかけて準備を行うこと。そうすることで安心して受験に臨むことができるようになります。
倍率にとらわれず強い気持ちを持とう
皆さんが気にかけている倍率というのは、実は結果論でしかありません。募集◯◯名の枠に◯◯名のエントリーがあり、倍率は◯◯倍でしたよ。という、結果に過ぎないのです。今後も航空業界はますます事業を拡大し、世界的に客室乗務員の需要は増える傾向にあります。客室乗務員の募集も各社定期的に行うことが予想されています。
「絶対に客室乗務員になる!」という強い気持ちを持ち、日々努力を重ねることで、誰にでもチャンスはやってきます。忘れてはならないことは、まず挑戦すること。挑戦しなければ、どんなチャンスもやってきません。
「倍率が高いから…」、「難易度が高いから…」と倍率にとらわれず、自分自身の力を出し切って合格を勝ち取るという強い気持ちが大切です。皆さんは、どうして客室乗務員になりたいのですか? それはどうしてかをしっかりと伝えることができますか?倍率や難易度よりも、継続して努力を続け、自分を磨き、勝ち残る力をつけることに重点を置くことで、客室乗務員への道は開けていくはずです。
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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・
桜子さん
海外の大学へ留学後、旅行やビジネスコミュニケーションの仕事を経験し、日系航空会社の客室乗務員へ。アジア・中東・欧州での生活経験あり。