新型コロナウイルス感染拡大で医療サポートも。客室乗務員が受ける救急救命訓練とは?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で航空業界の需要が減少する中、海外では客室乗務員を医療現場に派遣する取り組みが行われています。

シンガポールではシンガポール航空の客室乗務員の中から希望者を募り、食事補助や家族との面会管理など医療技術を伴わない業務を担うケア・アンバサダーを派遣しています。

イギリスではヴァージン・アトランティック航空やイージー・ジェットの客室乗務員がベッドシーツの交換などの業務を担い、医師や看護師のサポートを行う業務を担っています。

また、スウェーデンではスカンジナンビア航空の客室乗務員が看護師らからベッドでの寝返りや消毒手順などの訓練を受け、医療現場でのサポート業務に就いています。

これらの背景には、客室乗務員が乗務にあたり救急救命訓練を受けているほか、普段からプレッシャーの中で業務遂行や接遇を豊富に経験していることから、厳しい環境下においても柔軟に対応できるスキルを持っていることが挙げられています。

そこで今回は、医療従事者ではない客室乗務員がこのようなサポートを行うことができるのか、客室乗務員が受けている救急救命訓練と併せてお伝えします。

客室乗務員の保安要員としての役割

新型コロナウイルス感染拡大で医療サポートも。客室乗務員が受ける救急救命訓練とは?

客室乗務員の主な業務は接客業務と考えている人も多いかもしれませんが、実は客室乗務員には接客業務より重要な保安要員としての役割があります。

保安要員としての役割は、機内で乗客の安全を守ること。

旅客機に客室乗務員が乗務するようになったのは1900年代の初期ですが、当時は看護資格のある人員や看護師経験のある人員を乗務させていたとのことからも、客室乗務員の保安要員としての重要性がわかります。

各航空会社の客室乗務員は、機体からの脱出、火災や急病人など機内で起きる様々な緊急事態に備えた緊急脱出訓練と救急救命訓練を受けています。これらの訓練は1年に1回、すベての客室乗務員が受けています。また、緊急脱出訓練と救急救命訓練には筆記と実地テストがあり、これらテストに合格しなければ客室乗務員としての乗務ができないほど厳しいものとなっています。

日頃からこのような厳しい訓練を受けている客室乗務員だからこそ、新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が逼迫する厳しい環境下においても、医療従事者の負担を軽減する役割を担うことができるのです。

客室乗務員が受けている救急救命訓練

地上とは異なる環境にある機内。長時間に及ぶフライトでは急な体調の変化による急病人が発生することもあります。

客室乗務員は、急病人の意識の有無の確認や血圧や脈拍の測定を行うほか、意識がない場合には心肺蘇生法(人工呼吸と心臓マッサージ)、AEDを使用することもあります。そのため、客室乗務員は1分間の呼吸数と脈拍数を暗記しているほか、航空会社によってはすべての客室乗務員に人工呼吸用マウスピースを携行させている場合もあります。

救急救命訓練は人体模型を使用し、急病人がペースメーカーを使用している場合や乳幼児への対応など様々なシチュエーションを想定したロールプレー方式で行われます。

また、喉に食べ物を詰まらせたなどの窒息時の対応、過呼吸への対応や骨折、火傷への応急処置、出産への対応など様々な状況に臨機応変に対応できるように訓練しています。

機内で医療従事者のサポートを担うことも

新型コロナウイルス感染拡大で医療サポートも。客室乗務員が受ける救急救命訓練とは?

機内で急病人が発生すると客室乗務員はまず状況の把握と応急処置を行います。場合によっては機内に搭乗している医者や看護師などの医療従事者に協力をお願いすることもあります。

医療従事者が急病人の対応をしている場合に、医療従事者の指示により必要なものを用意したり、必要な処置のサポートを担うこともあります。

機内には、非常用装備品として応急処置に使用するファーストエイドキットや酸素ボトルが備わっています。客室乗務員はこれらの非常用装備品がそれぞれ機内のどの場所にいくつ装備されているかを暗記し、使い方をしっかりと熟知しています。

また、客室乗務員の中には、看護師としての勤務経験がある人や赤十字社の救急法資格を保持している人も多くいます。

このように、医療従事者の指示のもとサポート業務を担う能力を身につけている客室乗務員が、業種を超えて医療現場に派遣されているのも頷けます。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界中の航空会社では移動の需要が急減しています。多くのフライトが減便や運休とな離、多くの客室乗務員が一時帰休や一時解雇になるなどの影響が出ています。

そんな中、客室乗務員として身につけた冷静な判断力や臨機応変な対応力、緊急時に備えた知識や能力が医療現場で役に立つのであれば、ぜひ医療現場に手を貸したいというボランティア精神に溢れる客室乗務員も多くいます。

医療体制が逼迫し人員が足りない医療現場を一時帰休や一時解雇となりフライトに乗務できない客室乗務員がサポートするという業界・業種を超えた取り組みは、この危機的な状況下において両者にとって実りの多いものとなるでしょう。

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この記事を書いたキャビンアテンダントは・・・

ca6桜子さん

海外の大学へ留学後、旅行やビジネスコミュニケーションの仕事を経験し、日系航空会社のキャビンアテンダントへ。アジア・中東・欧州での生活経験あり。

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