憧れの職業に少しでも近づくため、インターンシップをしてみたいと考える人もいらっしゃるでしょう。特に客室乗務員(キャビンアテンダント)になりたい人にとっては、その裏側を知ることができるチャンスかもしれません。
しかし、単に「おもしろそう」だと思って参加したのでは意味がありませんよね。客室乗務員職のインターンシップについて正しく理解するために、メリットや気をつけたいことを詳しくみていきたいと思います。
客室乗務員職のインターンシップについて
航空会社のインターンシップとは
「インターンシップ」とは、企業が学生を受け入れ、職場での就業体験ができる活動のことを指していますが、航空会社が行うインターンシップでは、航空業界やその企業への理解を深める内容であることが多いようです。
また希望する航空会社内の職場を見学できたり、業務内容を詳しく説明してもらえたりする機会もあります。
一般企業のインターンシップとの違いや共通点
一般企業でのインターンシップでは、実際に働いている社員に混ざって、業務に携われることもあります。さらには、有給で業務の一端を担うケースもあるでしょう。
しかし、航空会社での仕事は、保安に関わることや顧客の個人情報といった社外秘の情報を取り扱います。そのため、インターンシップで社員の方と同じように業務を行うことは難しいのが現状です。
客室乗務員のインターンシップ概要
では、客室乗務員のインターンシップはどのようなものなのでしょうか。ここでは、国内大手2社の情報(2016年・2017年実施)をまとめてみました。
航空会社名 |
JAL(2017) | ANA(2016) |
実施期間・時期 |
2017年2月の4日と4~5月の1日 計5日間 | 2016年12月~2017年1月の中で1日 |
内容 |
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下記内容の講座・グループワーク
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応募資格 | 現在専門学校・高等専門学校・短期大学・4年制大学または大学院(修士課程)に在籍していてJAL客室乗務職の仕事に興味がある方(学年不問) | 指定する日程に参加可能な方 |
インターンシップに参加するメリット
客室乗務員は特殊な職業ですから、採用に関してメリットがあるなら是非ともインターンシップに参加したいですよね。では、どんなメリットがあるのでしょうか?
内定の確率が上がる?
インターンシップに参加するだけで内定に直結するかといえば、答えは「NO」です。当時の航空会社人事担当が、「インターンシップに参加することと内定には関係がない」とおっしゃっていました。実際に筆者の知り合いには、インターンシップに参加しても、内定をもらえなかった学生もいました。
ただし、参加することで新しい視点や知識を得ることは、大きなメリットと言えますし、インターンシップに参加できるということは、その時点で応募動機や企業研究の深掘りなどができている学生と見ていただくことができますので、内定の確率を上げるための第一歩であると言えなくもありません。
企業研究ができる
インターンシップでは、その企業についての説明が行われます。社内の人が説明してくれるので、業界内でのその企業の強みや今後の展望なども知ることができるでしょう。その話の内容を活かして自分の志望動機に盛り込んだり、その先に待っている就職活動へのモチベーションアップに繋がったりしそうですね。
また、就職を希望する職場を実際に見学することで、社内の雰囲気を肌で感じることができます。めでたく採用されて働き始めてから、思い描いていた理想とのギャップに失望しないよう、心構えをしておくこともできそうです。
自分のCA適性が分かる
現役CA(キャビンアテンダント)と直接話したり、その仕事ぶりを目の当たりにしたりすることで、その姿を自分に照らし合わせることができます。そうすることで本当に自分がCA(キャビンアテンダント)に向いているのか、客室乗務員として職務を全うすることができるのか、再度見つめ直すきっかけになりますね。
インターンシップに参加するデメリットは?
魅力いっぱいのインターンシップですが、メリットばかりではありません。デメリットも考慮した上で、応募するかどうか決めた方がいいでしょう。
評価される?
インターンシップに参加することが、採用の可否に直接関わることは少なそうです。ですが、それでも同じ人事の社員が担当なのですから、あまりに不適格と判断された場合には、就職活動への影響も否めません。軽い気持ちで参加し、真剣さが足らないと思われてしまうことで、採用試験に落ちてしまっては困りますよね。
他のインターンシップと両立しにくい?
国内大手2社のインターンシップはいずれも人気が高いため、参加するための選考があります。どうしても参加したい場合は、エントリーシートの記入から気が抜けません。
応募から実際にインターンシップが終了するまで数ヶ月かかりますので、他の企業のインターンシップとの両立は難しいかもしれません。また外資のインターンでは実施期間が長いこともあるので、他の職種のインターンシップも体験してみたい人は慎重に応募を考えましょう。
インターンシップで採用されるには
毎年かなりの応募者がいる客室乗務員のインターンシップですが、選考に通るにはどうすればいいのでしょうか?
企業研究を念入りに
選考に合格するには、エントリーシート審査を通過するのが鍵となってきます。大勢の応募者の中から選ばれるためには、どれだけあなたが本気でその企業について関心を持っているかを示さなければなりません。
「こんなところに魅力を感じて、他ではない貴社のインターンシップに参加したい」といった、航空業界の他の会社との差別化も盛り込むと良いでしょう。担当者の目に留まるようなエントリーシートにするには、念入りな企業研究が不可欠です。
自己分析をしっかりして、採用後のことまで考える
「客室乗務員になりたい」という気持ちばかりが先走って、実際に働くことを想像していないと、採用担当者を納得させるような応募動機を答えることはできないでしょう。
「なりたい」だけでなく、客室乗務員になるためにどのような努力をしているか、あなたのどんなところが客室乗務員に向いているのかを、アピールできると熱意が伝わるはずです。
また、仕事をしていく中でどんなことが大変か、それにどのように対処していくつもりかを述べられれば、責任感のある社会人になろうとしている姿を表現することができますね。
インターンシップで気をつけておきたいこと
嬉しいことに選考を通過して、インターンシップに参加できることになったとしても、遠足気分で参加しては痛い目にあうかもしれません。参加する際には、いくつかの留意点を頭に入れておきましょう。
金銭面は前もって確認を
インターンシップと言っても、有給や無給、もしくは参加費を払わなければならないなど、金銭面はさまざまです。特に海外でのインターンシップの仲介業者は、高額な手数料を請求することがあります。あとで後悔しないように、諸条件について応募前にしっかり確認しましょう。
こんなところを採用担当者は見ている?
インターンシップに参加した際の言動によっては、本番の就職活動に影響することもあるかもしれません。客室乗務員はサービス業ですから、誰に対しても笑顔で接したりハキハキと返事をしたりなど、接客の素質を見られている可能性があります。
また、クルー(客室乗務員)同士のコミュケーションや人間関係も重要なファクターですから、謙虚で素直な態度や円滑なコミュニケーションが取れているかという点にも、気を配る必要がありそうです。
実は航空会社にもあるインターン実施のメリットとデメリット
メリット:その年の学生の傾向や特徴を知ることができる
『ゆとり世代』や『さとり世代』などと言われますが、やはりその年によって学生の特徴も変わってきます。航空会社もより良い人材の確保をしたいわけですから、インターンシップでは本番の採用に向けての情報収集ができるというメリットがあります。
デメリット:インターンのために稼働できる社員が減る
インターンシップを実施するには、準備の段階から社員が携わらなければなりません。つまり、人員をインターンシップのために割かなければならないのです。
滑走路や発着枠の増加に伴い、CA(客室乗務員)も人手不足のところがありますので、労働力が減ることはデメリットと言えるでしょう。
海外の航空会社と日系航空会社インターンシップの違い
大手日系航空会社では業界や企業理解を深めることが大きな目的ですが、外資系エアラインでは、それに加えて空港業務も体験できるところが多いようです。
さらには、制服を来て現役CAにメイクをしてもらったり、訓練を体験したりとCAを目指す人には魅力的なプログラムがある航空会社もあります。
グランドスタッフのインターンシップとの違い
グランドスタッフのインターンシップでは、実際に空港旅客サービス業務を行うことができる企業が多いです。本物のお客様やその大事な荷物を取り扱うため、客室乗務員のインターンシップより実施日数が長いところがほとんどです。
新卒で航空会社からCA内定を獲得した経験者からのアドバイス
私は内定を頂いた後に、その年の採用担当の方とお話しする機会をいただきました。そこで感じたのは、客室乗務員として働くことを、応募者がどれだけ現実的に考えられているかが重要だということです。
皆さんが目にしている、お客様と接しているCAの姿は、業務のほんの一部でしかありません。CAは体力勝負の仕事ですし、どんなときでもお客様の前では笑顔でいられるメンタルの強さが必要です。
CAという仕事を理解し、その辛さや大変さを分かった上でも「客室乗務員になりたい」、「私なら立派な客室乗務員になれる」という気持ちを持てるなら、きっと就職活動も大丈夫です。自信を持ちつつも、謙虚な態度でいることが採用への道を照らしてくれるかもしれません。
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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・
彩夏さん
大学を卒業後、国内大手ホテルにて三年間勤務。その後、外資系の航空会社の客室乗務員を二社経験。機内での日英通訳として勤務した経験も持つ。