飛行機を利用する際、皆さんはどのように座席を選んでいますか。エコノミークラスの狭い機内で少しでも快適に過ごすために、座席選びは重要です。長距離路線ならなおさらですね。
意外と知られていない機内での座席の選び方について、元客室乗務員という目線からご紹介したいと思います。
その1 窓側?通路側?
普段あまり飛行機に乗る機会がない人は、機上から見る空の景色を楽しみたいと窓側を選ぶ人も多いのではないでしょうか。飛行機の座席は、機種によって様々ですが、中・長距離路線で多く使用されている機材の座席は、主に、3-4-3または3-3-3が多いです。
私が一人で飛行機を利用する際は、迷うことなく中央列の通路側を選びます。その理由は、お化粧室の利用などで他の人に迷惑をかけることなく立つことができ、隣の人が自分の前を通り通路に出ることが少なく、なおかつ中央列の真ん中席は空席であることが多いからです。
例えば、3-4-3の座席並びの場合で、中央列4の通路側を選ぶとします。もし隣の座席が埋まっている場合、お化粧室の利用などで通る人は隣に座っている一人だけ。隣の隣に座っている人がわざわざ二席超えて通路に出てくることはまずありません。
これが3-4-3の3列の通路側ではどうでしょう。同じ通路側ではありますが、隣には二人座っており、その向こうは窓で通路がありません。そうすると二人が自分の席を超えて通路に出ることになります。入れ替わり立ち代りと立たれたのではゆっくり休むことができませんよね。
その2 非常口座席や最前列は?
少しでも足を伸ばせる座席として人気なのが非常口座席や最前列の席です。通常の座席より足元が広く快適と思われがちですが、実はその座席の特徴上、幾つかのデメリットもあります。
例えば、テーブルや機内エンターテイメントの個人モニターが小さく、アームレストにしまわれていること。映画を楽しみたい人にとっては不安定で小さな個人モニターでは不満という人も多いのではないでしょうか。離着陸の際には、必ずテーブルや個人モニターを収納する必要がある上、手荷物すら近くに置くことができず上の手荷物棚に収納する必要があります。
また、非常口ではないですが、パーテーションの前の座席も足元が広く人気のある席です。実はこの座席にはベビーベットを取り付けることができる座席となっているため、赤ちゃん連れが座ることが多いのです。
ゆっくりと眠りたい、静かに過ごしたい、そう思っている人にとって、赤ちゃん連れのいるパーテーション前の席を選ぶと、突然泣き出した赤ちゃんに困ってしまうということもあります。さらに、非常口座席やパーテーションの近くには客室乗務員が出入りするギャレーやお化粧室が設置されていることが多いのが特徴です。機内サービス中何度もギャレーを出入りする客室乗務員が通ったり、お化粧室に行くためにパーテーションの前を横切ったり、非常口座席の前の広いスペースでお化粧室待ちの列ができたり、長時間のフライトでストレッチを行う人がいるなど、なかなか落ち着いて休めないというデメリットもあります。
また、非常口座席に座る人は、緊急時に客室乗務員のお手伝いをするということになっています。そのため英語が理解できる人でないと座ることができません。搭乗時客室乗務員は必ず、非常口座席のお客様に声をかけています。それは、そのお客様が緊急時にきちんとお手伝いができる人かどうかを確認しているのです。
その3 前方座席?後方座席?
飛行機の座席を選ぶ際に重要なことのひとつ、それは機内前方の座席を選ぶが、後方の座席を選ぶかです。前方の座席を選ぶと到着時にすぐに降りることができるため多くのお客様は前方の座席を選ぶ傾向にあります。反対に、後方の座席を選ぶと降機の際に時間がかかってしまいイライラするという人も多く実は敬遠されがちです。
私の場合は、よほど乗り継ぎ時間が短いという場合や満席でどこに座っても同じという場合を除いては、後方の座席を選ぶようにしています。実はこの後方の座席はメリットがたくさんあるのです。多くの人が前方の座席を希望すると、当然後方座席は空席が多くなってきます。前方に空席がない場合でも後方を見てみると結構空席が目立つということが多いのです。
つまり、後方を選べば隣に誰も座らない確率が高いということ。チェックインの際に「今日はどのくらい埋まっていますか?」と聞いてみると良いでしょう。「7割くらい」という答えであれば迷わず後方を選びます。「ほぼ満席です」と言われたら後方座席を選ぶメリットはあまりないと考えていいでしょう。
まとめ
いかがでしたか。機内での過ごし方によって選ぶ座席が変わってきますよね。3-4時間の短距離路線でお化粧室に立つことなく過ごせるという人は、窓側を選ぶといいでしょう。また、中・長距離路線で何度もお化粧室に立つという人は、圧倒的に通路側の方が便利です。
それぞれの座席のメリット、デメリットを考慮して自分にとって快適な席を知っておくことで、迷うことなく座席を選ぶことができます。また、航空会社のホームページなどで使用される飛行機の座席の構造を知っておくのも良いでしょう。機内での快適性を左右する座席選び。ぜひ参考にして、快適な空の旅をお楽しみください。
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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・
桜子さん
海外の大学へ留学後、旅行やビジネスコミュニケーションの仕事を経験し、日系航空会社の客室乗務員へ。アジア・中東・欧州での生活経験あり。