外資系エアラインを志望するにはまず何を知っておくべきでしょうか。外資系となると国やエアラインによって労働条件は多種多様、日系とも異なりなかなか情報が入りにくいですよね。
ここではわかりやすく例を見ながら様々な外資系エアラインを比較してみましょう。
日系エアラインの労働条件についての記事はこちら
国の法律や会社の経営状態に左右されやすい外資系
日本人クルー=外国人労働者として労働ビザが必要になる事が多い外資系エアラインでは契約年数が制限されることも少なくありません。
アメリカ系エアラインでは定年という概念がなく年に一度の保安訓練がパスできればずっと飛び続けられるところもありますが、そもそも応募資格に永住権が前提ですのでこの地点で応募は限定されます。それ以外で日本人として働く外資系エアラインに絞ってみると、終身雇用という形態は一部のエアラインを除いてほとんどありません。
ただ契約社員であっても契約更新できる場合もあります。例えば労働契約が3年とされていても契約満了時に都度契約を更新して長期働ける場合もあります。逆に契約満了後は一切更新なしというようなところもあります。後者のような場合は契約にサインする地点で数年後の転職をすでに念頭に置いておく必要がありますね。
欧州エアラインを例に徹底比較
分かりやすく欧州を代表するエアラインで比較してみましょう。参考までにエアラインごとのベースも記載しています。
定年まで働けるエアライン
かなり稀な例としてルフトハンザ航空(ベース:フランクフルト)の無期限労働契約が挙げられます。入社3年後に設けられている語学テストをパスすれば無期限の労働契約となり定年まで空を飛ぶ事もできます。産休などで長期休職して復職することも可能です。ただしこの語学テストのレベルが以前より上がっていますのでしっかりドイツ語を勉強しておかないと契約を更新できないこともあります。
フィンエア(東京・大阪・中部)では契約は一年ごとに更新可能、6年目に正社員として契約できます。入社の年代によっては雇用形態が異なりスイス系派遣会社アデコの派遣として正社員になるケースもあったようです。現在では働く本人が希望すれば最終的に定年まで働くこともできます。
契約満了時の更新の可・不可
例えばKLMオランダ航空(東京・大阪・福岡)では基本的に始めは3年契約、そして契約が更新できたとしても2年、つまり最長で5年の労働契約とされていましたが年代によって契約年数も変化しているようです。例えば2010年入社では5年契約の後さらに3年延長可能となったケースもあります。しかし最終的にはそこで契約は終了、それ以降さらに長期で働き続けることはできません。
アリタリア航空(東京・大阪)、オーストリア航空(ウィーン)では契約更新は可能ではありますが、年によっては更新できずに同期全員契約を終了されたり、ベースの統合や人数調整、経営上の都合という理由で解雇される事もあったようです。しかしその反面うまく契約更新を繰り返して長年働いている人もいますので実力、運、そして会社との相性次第といえます。
どの外資系エアラインでも言えるのは会社の経営状況や意向によって突然更新不可になったり解雇されたりされる可能性が十分あるという事です。日系に比べ安定した職場とは言えませんが、そのような条件でも会社に高く評価され契約更新を繰り返して何十年と働き続けている人もいます。本人の業績と取り巻く環境次第では長くキャリアを積む事も不可能ではありません。
エアラインによって好む年齢層や採用傾向
外資系を志望するならまず気になるところですよね。これもエアラインによって好みが分かれますので、今までの採用情報から年齢に関する傾向を見てみましょう。
若い人を好むアジア系、年齢制限の存在しないアメリカ、多種多様な欧米系
アジア系では「20歳以上27歳以下」というように明記しているところもあり若い人材を好む傾向にあります。
アメリカ系エアラインでは年齢制限はまずありえません。それどころか年齢による差別で訴えられてしまいます。
欧州では最近スイス航空が募集要項に20歳〜25歳と齢制を明記しましたが、ルフトハンザは18歳以上、フィンエア・カンジナビア航空は22歳以上というように上限を設けていないエアラインもありますので年齢に関しては会社それぞれです。
外資系キャビンアテンダントの年齢に関する「暗黙の裏情報」
少し話は逸れますが、私の知る欧州系エアラインのキャビンアテンダントの間では募集要項に年齢の上限がなくても「スカンジナビア航空は基本26歳以下しか採用しない」「アリタリアは20代を採用する」「ルフトハンザは20代後半の経験者を好む」「エミレーツはフライトタイムが多く激務になるから30代以降は取らない」というような裏常識があるようです(100%事実かどうかは定かではありませんのであくまで噂です)。
転々と上手に転職を繰り返す外資系キャビンアテンダントはこのような情報を同業他社のネットワークでお互い交換しながら最新の採用情報をアップデートしているようです。
外資系特有の条件を考慮してCAとしてのライフプランを立てる
外資系はベースもエアラインによって日本国内なのか海外なのか異なりますので、いざ就職するとなると自分の生活全てが一変することは十分有り得ます。
外資系を志望する際は、まず自分が何歳まで働きたいのか、どの国・都市に住みたいのか、など自分が希望するライフプランからエアラインを絞る場合と、希望のエアラインを絞ってそこに合わせた自分のライフプランを立てる場合と、自分に合う方法で計画を立て始めると良いでしょう。
志望する地点でまだ学生なのか、すでに在職中で転職を希望しているのか、その時の自分の年齢やキャリアによっても応募できるエアラインは変わってきます。
ただし、どの年代を採用するか、経験の有無などは採用の年の経営方針によって変動しがちで傾向を読みにくいところでもあります。過去の噂に流されず自分が年齢の壁を打ち破る第一号となるくらいの気持ちでいきましょう。
数年に一度しか出ない事も多い外資系の採用でチャンスを掴むためにもしっかり事前準備しておくことが重要です。
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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・
涼子さん
国内系大手航空会社の国際線客室乗務員として10年以上勤務し、世界中をフライトで飛び回る。世界の大都市・グルメ・音楽・カルチャーに関心を持ち、結婚に伴いヨーロッパでの海外生活を始める。翻訳・通訳歴も数年あり、英語・ドイツ語はビジネスレベル。