飛行機で世界中を飛び回るCAは、英語が堪能というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかしCAを目指す人の中には、英語が苦手という人や、CAになるために実際どのくらいの英語力が求められているのかを知りたいという人もいると思います。
そこで今回のテーマは、CAの選考を通過するために必要な英語力について解説します。
はじめに
まずはじめに、CAになるためになぜ英語力が必要かについてお話しします。 CAに英語力が求められる主な理由は二つあります。
まず一つ目の理由は、飛行機に搭乗される多様な国籍のお客様とのコミュニケーションのためです。
近年多くのインバウンド客が日本を訪れて話題になっていますが、国際線乗務時だけでなく国内線乗務時でも外国籍の乗客がいる場合には、英語のアナウンスを行い、英語で案内をする必要があります。
そして二つ目の理由は、外国籍クルーとのコミュニケーションのためです。
日本の航空会社でも外国籍クルーが在籍している場合には、英語でブリーフィングを行ったり、緊急時に英語で意思疎通をはかれることが重要になります。
では、実際にCAの選考ではどのくらいの英語力が求められているのか、各社の募集要項から抜粋してご紹介します。
JAL及びそのグループ会社で国際線を運航するZIPAIRでは、
「TOEIC600点以上、または同程度の英語力を有することが望ましい。」
とあります。
ANA及びそのグループ会社であるAirJapanでは、
「TOEIC600点以上、GTEC2技能260点以上、GTEC4技能520点以上、IELTS5.5点以上の英語力を有することが望ましい。」
とあります。
LCCのPeachでは
「TOEIC600点、GTEC-LR260点相当程度以上を有する⽅。」
との記載があります。
このほかに、国内線のみを運航しているAIRDOやFDA(フジドリームエアラインズ)などでは「TOEIC550点以上を有する方」
と記載されています。
上記を見てもわかる通り、国際線を運航しているJAL、ANA、ZIPAIR、AirJapanではTOEIC600点以上が目安になっているのに対し、国内線のみを運航している航空会社ではそれよりも若干低くTOEIC 550点が目安となっています。
これまでCAの選考では、募集要項に記載されているTOEICのスコアに満たない場合は書類選考を通過できないことが多くありましたが、最近の特徴として各社ともにTOEICのスコアだけで判断せず、基準のスコアに満たない場合でも書類選考を通過できる可能性を記した『同程度の英語力を有することが望ましい』という記載方法に変わってきています。
これはCA選考試験において英語の試験や一部英語の面接を取り入れることによって、TOEIC600点に満たない人であっても実際の会話力などで判断するということが伺えます。
また、ANAグループでは、指定されたスコア(TOEIC/GTEC/IELTSなど)を期限内に取得していれば、英語試験が免除される制度があります。ただし年度ごとに条件が異なるため、最新の募集要項を確認することが重要です。
ちなみに、2023年度に開催されたTOEICの平均スコアは612点となっており(*IIBC公式データより)、TOEIC600点を目指すのはそれほど難しくないレベルと言えるでしょう。
このほか、外資系航空会社のCAを目指す場合にはこれらの基準よりさらに高い英語力を求められます。
外資系航空会社の選考は基本的に英語で行われます。募集要項も英語で書かれている上、CAの訓練過程もすべて英語で進められる場合がほとんどです。そのため、最低限それらの内容が理解できる必要があります。
また、外資系航空会社はTOEICスコアを重視しない企業も多く、TOEICスコアの提出が不要な場合がほとんどです。代わりに英語面接やグループディスカッションで判断されます。また、基準となる英語力に満たない際は、会社独自の英語試験をオンラインで受ける場合もあります。
ここまでCAを目指すために必要なTOEICの点数について解説してきました。CAの選考の基準となっているTOEIC600点はTOEICの平均点レベルです。早いうちから目標をたててコツコツと学習することで取得可能なレベルと言えるでしょう。英語が苦手な人やひとりでの英語学習に不安がある人は、スクールのTOEICコースなどに参加して集中的に学習するのも良いでしょう。