人と接することは好きだけど、初対面ではどのように会話を楽しめばよいか分からない。いざ会話の機会に恵まれても、なぜか話が長続きしない…。このような悩みを持っている人も少なくないでしょう。
私たちはよりよい人間関係を築くため、「高いコミュニケーション能力」が必要不可欠だと考え、しばしばそれが足かせとなり初対面の人との会話に自信を持てないという結果につながったりします。
「コミュニケーション能力」と聞くと、その習得のために特別な訓練が必要と思われるかもしれませんが、実はちょっとしたコツを掴むだけで、その能力がぐっと向上するものなのです。
よく理想的な会話のモデルは、「聞くが7割、話すは3割」と言われています。つまり聞き上手になることは、よりよりコミュニケーションにおいて重要なウェイトを占めるということです。
そこで今回は、聞く側に重点を置き、国籍や文化、世代を超え様々な層からなるお客様と日常的に接しているCAが、機内で聞き上手になるために心掛けているポイントをご紹介します。
1. 質問は「末広がり」の5W1Hで!
例えば機内でのお食事シーンを思い浮かべてみてください。CAの「お食事はお口に合いましたか?」という問いかけと、「お食事のお味はいかがでしたか?」という質問では、どちらが話し手となる乗客をより引き立てることになると思いますか?
そうです。後者です。前者のように答えがYes/Noで片付く質問よりは、後者のHowで始まる問いかけのほうが相手への関心度が高いことの表れとなり、結果話し手からより内容のあるフィードバックが返ってくるでしょう。
このように英語で言うところの5W(What/Why/Who/When/Where)と1H(How)から始まる、いわゆる「末広がり」の質問を意識するだけでも、こちらが相手に興味を示していることが伝わり、話し手も快く話を進めていくことができるようになります。
ただ、前者のような質問の形が全くもって好ましくないということではありません。時間の関係で会話が長くなることが望ましくない状況下や、5W1Hばかりで話し手の負担が大きくなる場合、また会話の初めの導入部分などでは、むしろ前者の形を取り入れるのも一つの手です。
5W1Hを意識しつつも、状況に応じてそのバランスをうまく調整していくことが、まさにCA流なのです。
2. すぐに自分の話に還元しない
会話が進むにつれ相手が自分と似たような経験をしていると分かると、思わず相手の話に割り入って自分の体験談を語り始めてしまいがちです。
もちろん共通の話題を通じて親睦が深まることもありますが、会話の主人公が自分に移ってしまう時点で、「聞き上手」という目標達成からは少しずつ遠のき始めてしまいます。
相手に共感を示すという意味では、自分も同じ経験があるという事実に触れるのもよいでしょう。しかし、それがいつ、どこで云々と言った内容の詳細に至ってしまっては、話し手を引き立てることができないどころか、話の腰を折られた相手があなたとの会話を心地よいものと感じられなくなってしまうかもしれません。
誰でも自分の話を切り出したいのはやまやまではありますが、冒頭でも触れたように、あくまで「聞くが7割、話すは3割」が法則です。自分の人となりを知ってもらう機会ではなく、相手を知る機会であることを心に留めて会話に臨むようにしましょう。
3. 知らないことは知らないと認め、「学ぶ」姿勢で
相手の話す内容が、必ずしも自分の興味のあること、もしくは知っていることとは限りません。
機内には実に様々な職業の人が搭乗していますが、その誰もが制服や作業服を着て飛行機に乗ってくるわけではありませんし、乗客リストにも各々の職業が個別に明記されてはいません(ただしファースト/ビジネスクラスなどでは書かれていることもあり)。
つまり機内ではほとんどの場合、乗客それぞれが「どこの誰」だか分からないのです。ですからCAは、そんな千差万別の会話に柔軟に対応するマインドを常に持ち合わせていなくてはなりません。
お客様の中には、専門的すぎて誰もついていけない話を持ち出してくる人もいます。ですが、だからと言って邪険に扱ってはいけませんし、また少しでも見識があるような素振りを見せるのも好ましくありません。興味がない、または見識のない会話は適当に済ませようとするのではなく、知らないことは知らないと認め、自分にとってそれまで未知だった情報を学ぶ絶好のチャンスであると考えることが大切です。
どのような人も他人にはない知識や経験があるのです。つまり、誰もがあることに関して「エキスパート」なのだということを覚えておきましょう。
4. 適切な頷きは言葉以上にものを言う
1~3までは主に発話の内容についてのアドバイスでしたが、会話の潤滑油として基本中の基本でありながらも無視できないのが、この「頷き」です。このさりげないしぐさ一つで、話し手は相手が自分に関心を持って耳を傾けてくれていると感じられる、いわば無言の潤滑油なのです。
もちろん、むやみやたらに頷いていればよいというわけではありません。適切なタイミングと会話の流れに合った頷きのスピード加減が鍵です。
話し手が明るい話をしている時には、やや早めのテンポで頷き、逆に暗い内容の場合には、ゆっくりめのテンポで聞き手自身の顔の表情にも暗さをプラスすると、より話し手の会話に寄り添っている感じが伝わります。こうして聞き手という役割を「演じる」ことも大切なことです。
まとめ
いかがでしたか。「聞き上手」になるためには、相手の話にひたすら耳を傾ければよいというわけではなく、話者に関心を持ち相手を引き立てる心構えを持ちながら会話に参加するのがポイントです。
たとえ相手がどんな人であっても、機内で働くCAにとってそれぞれみなが大切なお客様に違いありません。お客様におもてなしをするのと同じ気持ち、同じ姿勢で、その会話に臨むことができるようになれば、あなたも立派なCA流聞き上手になるでしょう。
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この記事を書いたCA(客室乗務員)は・・・
元客室乗務員 真由美(35歳・女性)
日系・アジア系・欧米系エアラインにてグランドスタッフや客室乗務員を経験。現在は主婦業の傍ら、得意な英語・韓国語などの語学力を生かした仕事に取り組み中。