ANA(全日本空輸)は、JALと並び日本を代表する国内大手航空会社です。
イギリスのSkytrax社による世界の航空会社格付けランキング「World Airline Star Rating」において、最高評価となる「The World’s 5-Star Airlines」の認定を得ており、世界でもトップクラスの実力と人気を誇ります。
ANAの高い人気を支えているのは、機内で安定した質の高い接客を提供するCA(客室乗務員)の存在なしには語れません。
ANAのCAとして働く魅力やANAのCAになるために必要な能力、ANAのCA採用試験の流れなど、ANAのCA受験のすべてをまとめました。
ANAのCA受験前に知っておきたいポイント
まずは、応募前に知っておきたいANAの基本情報について解説します。
ANAの基本情報
社名 | 全日本空輸株式会社 |
---|---|
英語表記 | ANA (All Nippon Airways) |
設立 | 1952年 |
拠点 | 東京羽田 東京成田 札幌新千歳 名古屋中部 大阪関西 福岡 沖縄那覇 |
所属アライアンス | スターアライアンス |
保有機材数 | 307機(ANAグループを含む) |
就航都市数 | 国内線53都市 国際線48都市 |
従業員数 | 45000名(ANAグループを含む2022年3月末時点) |
ホームページURL | https://www.ana.co.jp/group/ |
ANAとは?
ANA(全日本空輸)は、ANAホールディングスの子会社で日本を代表する大手航空会社です。
前身のヘリコプター輸送会社から日本初の民間航空会社へと発展し、現在では国内航空会社最大級の航空路線ネットワークを誇り、1日に約1000便の国内線と国際線を運航しています。
ANAは、ボーイング社の最新鋭機B787を中心に、世界最大の航空旅客機であるエアバス社のA380など、300機以上のさまざまな機体を保有しています。また、世界最大規模の航空連合であるスターアライアンスに加盟しており、日本の航空会社としては唯一旅客数で世界のトップ20にランクインしています。
またANAは、独自のブランド価値として日本の心を大切にした接遇や品質「Inspiration of Japan」を掲げ、安全運航を基本にした日本の技術力、礼儀正しく正確な気質などの顧客体験を提供しています。
ANAグループとは?
ANAグループは、持株会社であるANAホールディングスとANAを中心に、航空運送事業者をはじめとする連結子会社126社、関連会社45社からなる企業グループです。
ANAグループの航空運送事業者としてはグループ最大の子会社であるANAのほかに、国内リージョナル路線を運航しているANA Wings(ウイングス)、アジアやリゾート方面を中心とした国際旅客便と貨物便を運航しているエアージャパン、格安航空会社で国内旅客便と国際旅客便を運航しているPeach Aviation(ピーチアビエーション)があります。
また、航空機整備事業、空港地上支援、フライトケータリング、貨物・物流などの航空関連事業以外にも、不動産やIT、人材・ビジネスサポートなど幅広い企業が名を連ねています。
ANAで働くCAの魅力
次に、ANAのCAとして働く魅力を5つご紹介します。
- 魅力1:国内線と国際線に乗務できる
- 魅力2:多くの出会いを経験できる
- 魅力3:サービスの追求ができる
- 魅力4:充実したキャリアパスを築ける
- 魅力5:ライフとキャリアの両立が可能
魅力1:国内線と国際線に乗務できる
ANAのCAとして働く魅力1つ目は、国内線と国際線の両方に乗務できることです。
ANAで働くすべてのCAは、入社後に行われる専門訓練を終えたあとすぐに、国内線・国際線の両方に乗務できるようになります。ANAのCAは、特定の路線のみを担当するのではなく、ANAが就航しているすべての路線に乗務します。新人であっても経験を積んだCAであっても同じようにすべての就航路線に乗務できることは、ANAのCAとして働く上での大きな魅力です。
魅力2:多くの出会いを経験できる
ANAのCAとして働く魅力2つ目は、多くの出会いを経験できることです。
ANAのCAの仕事は、1フライトごとに多くの出会いが詰まっています。1フライトとして同じフライトはなく、フライトごとに異なるクルーと乗務したり、国籍や年齢、旅の目的も異なる多様な背景を持つお客様との出会うことができたりと、日々学び続けられる環境が整っています。
魅力3:サービスの追求ができる
ANAのCAとして働く魅力3つ目は、サービスの追求ができることです。
ANAでは、CA一人一人の感性とスキルを大切にしています。フライトの中でスキルを身につけていくだけでなく、人としてさまざま経験を重ねながら個性や感性を磨くことで、サービスの幅を広げていけると考えているからです。ANAで働くすべてのCAが、創意工夫を凝らしながら自分らしくサービスの追求ができる環境が整っていることは、ANAのCAとして働く魅力のひとつと言えます。
魅力4:充実したキャリアパスを築ける
ANAのCAとして働く魅力4つ目は、充実したキャリアパスを築けることです。
ANAでは一人一人が自分らしく働ける選択肢が充実しており、幅広いフィールドでの経験を通して成長を続けていける環境があります。
例えば、ANAのCAは、まず国内線・国際線のエコノミークラス担当として乗務を開始し、ビジネスクラス担当、ファーストクラス担当と役割の幅を広げていきます。その後は、チームコーディネーター、パーサー、チーフパーサーなどのフライトの責任者を任される役割のほか、インストラクターやスタッフアドバイザー、管理職などのフライト以外での役割を通じて、自分らしい働き方を選択できるのもANAのCAとして働く魅力です。
魅力5:ライフとキャリアの両立が可能
ANAのCAとして働く魅力5つ目は、ライフとキャリアの両立が可能であることです。
国内外を飛び回るCAの仕事は、ライフとキャリアの両立が難しいというイメージを持っている人も多いかもしれませんが、ANAで働くCAの約4人に1人は子育てをしながら働いているというデータがあります。
ANAでは、育児サポート制度や社員がいきいきと働くことをサポートする制度が充実しており、ライフステージの変化に合わせて長く働く働き続けられるようになっています。
例えば、子育て支援として、
- 子どもが2歳になるまで取得できる育児休暇
- 子どもの小学校3年生修了時まで勤務日数を約5割、約7割、約8割の中から選択することができる育児のための短日数就労制度
- フルタイム勤務の場合、通常の休日や有給休暇とは別に月間3日の休暇を取得できる育児日制度
- 未就学児の育児・看護のための特別休暇を取得できる育児看護日
など、女性が多い職場だからこその充実した育児サポート制度があります。
また、子育て支援だけでなく、
- 社内キャリアに活かせる能力やスキルの向上のための留学やボランティアなどで最長1年間休職できる自己啓発のための休暇
- 配偶者の海外転勤に同行し最長2年間休職が可能な配偶者海外転勤制度
- 介護のために一定期間休職する、または勤務日数を約5割または約7割にできる介護休職・介護のための短日数勤務制度
- 満30歳に達した社員は勤務日数を約9割とすることができる、満40歳に達した社員は、勤務日数を約5割または約7割とすることができる短日就労選択制度
など、ライフもキャリアも充実させながら身も心も豊かに働けるサポート体制が整っているのもANAのCAとして働く魅力のひとつです。
【2023年度】ANAのCAの応募条件
世界でもトップクラスの実力を備えるANAでは、「あんしん、あったか、あかるく元気!」のスローガンに沿い、企業とともに成長できる人材を求めています。
ANAのCAの応募条件は以下の通りです。
注)新型コロナウイルス感染拡大に伴う事業規模見直しのため2023年度の採用は見送られていますが、参考のため2021年度新卒採用時の募集要項を掲載しています。
- 学歴:2020年4月から2021年3月までの間に専門学校・高等専門学校・短期大学・4年制大学または大学院の文系学部・理系学部(全学部)を卒業または修了見込みの方
- 視力:裸眼またはコンタクトレンズ矯正視力が両眼とも1.0以上であること
- 健康:航空機乗務に際し必要な体力を有し、呼吸器・循環器・耳鼻咽喉・眼球・腰椎等に支障がないこと
- 語学:TOEIC600点程度以上の英語力を有すること
- その他:入社までにパスポートの取得が可能であること(国籍は問わない)、東京国際空港(羽田空港)と成田国際空港に公共交通機関を利用し120分以内で通勤可能な場所に居住または居住予定であること
ANAのCAの採用試験の詳細データ
次に、合格率や英語力などANAのCAの採用試験の詳細データをご紹介します。
ANAのCAの合格率
ANAのCA採用試験では、新卒・既卒・経験者の募集を行なっていますが、毎回多くの応募があります。
例えば、新卒採用ではおよそ500名の採用枠に約15000名の応募があり倍率は約30倍、合格率は30人に1人となっています。
また、既卒採用の競争率はさらに高くなり、およそ80名の採用枠に約5000名の応募があり、倍率は約60倍、合格率は60人に1人となっています。
ANAのCAに必要な英語力
ANAのCAにはTOEIC600点程度の英語力が必要です。これは募集要項に記載されている目安となる点数ですが、英語力がTOEIC600点に満たない場合には採用試験時に英語試験(GTEC)が課されます。TOEIC600点は、英検でいうと2級から準1級のレベルに値し、高校卒業から大学で学ぶ英語のレベルの中間に位置するイメージです。特段高いレベルという訳ではありませんので、在学中に取得を目指すようにしましょう。
ANAでは近年国際線ネットワークの強化を行なっています。また、ANAのCAは入社後すぐに国際線に乗務しますので、高い英語力を持っている人は歓迎される傾向にあります。
ANAのCAの採用試験の流れ
ここからは、ANAのCAの採用試験の流れを見ていきます。
WEBエントリー
ANAのCAの採用試験ではまず、書類選考としてWEBエントリーを行います。WEBエントリーではエントリーシートの入力と自己紹介動画の提出、総合適正検査及びGTEC英語試験があります。
総合適正検査は、言語、非言語、英語の能力を通して、働く上で必要となる基礎的な能力を総合的に測る検査です。英語試験についてはTOEIC600点またはGTEC260点以上の英語証票提示で免除となります。エントリーシートでは、「ANAのCAを志望する理由」のほか、「将来の自分についてのビジョン」「人としてどうありたいか」など、人となりを重要視する質問が頻出する傾向にあります。
一次選考
WEBエントリーを通過すると、一次選考としてグループ面接が行われます。
グループ面接では、「自己紹介」「学生時代に頑張ったこと」「どのようなCAになりたいか」などの一般的な質問のほか、「チームワークについて」「最近の気になるニュースについて」「社会人になるにあたって大切にしたいこと」「コミュニケーションで大切にしていること」「出身地のPR」など幅広い質問をされます。具体的なエピソードを含めて完結に伝えられるよう、自身のエピソードをリスト化するなど書き出しを行い対策を行いましょう。
二次選考
ANAのCA採用試験の二次選考では、個人面接と簡易身体検査(身長・体重・尿検査)が行われます。
個人面接ではまず自己紹介及びエントリーシートに沿った質問が行われます。さらに「なぜANAなのか」「ANAのCAとしてどのように企業に貢献できるか」などのANAに対する熱意を見る質問やサービスやチームワークなどのCAの業務内容に関連した質問が行われます。ANAでは特に、一人一人の感性や価値観を大切にしており、人として成長できるかどうかやチームの一員としてどのように貢献できるかなどの視点を大切にする傾向があります。企業の理念やビジョンをしっかりと念頭においた上で、自身の将来のビジョンも含めて自分の言葉で自分らしい回答ができるようにしましょう。
最終選考
ANAのCA採用試験の最終選考では、個人面接と身体測定が行われます。
個人面接では、一次選考や二次選考とは異なり、実際にCAとして勤務していけるかどうか適正の見極めが行われる質問が多い傾向にあります。
例えば、「チームに苦手な人がいる場合はどうするか」「体力をつけるためにどのようなことをしているか」「落ち込んだときはどうするか」「休日はどのように過ごしているか」などの行動質問を通して、問題が起きた時にどのように対処するかを見極めています。
身体測定では、レントゲン、採血、血圧測定に加えて、聴力、視力、バランス検査、インピーダンスなど細かな項目があり、航空機乗務に適正があるかどうかの確認が行われます。
ANAのCAの雇用形態・給与は?
次に、ANAのCAの雇用形態・給与についてです。
ANAではすべてのCAを安定的に長く働けるよう長期雇用社員(正社員)として採用しています。ANAのCAの給与は、基本給+各種手当(家族手当、住宅手当、深夜労働手当、土日出勤手当、乗務手当、職務手当など)となっており、月のフライトの本数によって多少の変動があります。
勤続年数によって基本給が変わるだけでなく、パーサーやチーフパーサーなどの役割によって職務調整手当が追加で支給される仕組みとなっています。
また近年では、副業制度の見直しが行われ、ANAで働きながら副業が可能となりました。規定内であればCAを含むANAの全社員が副業可能となり、新しい働き方として注目を集めています。
ANAのCAを目指す上でのアドバイス
ANAのCAを目指す上でまず重要なのが英語力です。基準となるTOEIC600点は必ず取得しましょう。採用面接で最も聞かれる質問は、ANAへの熱意や人としての感性や価値観についてです。ANAのビジョンについて理解しているか、ANAのチームの一員として一緒に成長できるかどうかなどの質問を通して適正を判断されますので、徹底的に企業研究をしてANAが行っている取り組みや最新のサービスなどを理解しておくようにしましょう。
また、ANAのCAが出版している書籍を読むこともおすすめです。CAの目線で書かれた書籍にはANAが企業として大切にしていること、CAとして乗務する上で大切なことなど多くのヒントが書かれています。
まとめ
2023年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も少しずつ落ち着きを取り戻し、航空需要も復活しはじめています。
ANAのCAを目指す新卒の皆さんは、CAの採用が見送りになったことで大変残念な思いをしたと思います。
ちなみに、ANAは過去にもCAの採用を見送った年があります。同時多発テロやSARSなどで航空需要が減った2002年と2003年の2年間ですが、翌年には新卒採用を再開し、その後は既卒採用で人員を補充しています。今後CAの採用が再開された際には採用が見送られた年度分の人員を補充する可能性は十分にありますので、前向きな気持ちを忘れずに英語力の向上や自分磨きに努めましょう。
この記事を書いたエアライン講師
元JAL CA エアライン講師:CAコンシェルジュ校長 乾
東京の女子大を卒業後、JALの客室乗務員として国際線・国内線ともにフライトを行い、機内販売推進担当、安全推進担当リーダーとして幅広く活躍。
CAを目指す方と女性としてより輝きたい方の応援をするため、エアラインスクールCAコンシェルジュを設立。
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